第4回 そこに価値観を与えるのは何だ
森谷たとえばこの器、これを機械で作ってたら1000円だっすね。
ちょっとひねったりしていびつだったりすると、もっと価値があるっすね。
首藤(笑)
うんうん。
森谷ちょっといびつ。ちょっとこれとこれが形が違うとか、色が違うとか、そっちの方がいんでねすか。
たぶん96ぐらいまでは同じものが出来たとして、残りの4ぐらいに価値を見い出すときってあるんでねえがと
首藤はー。そういうことかあ。
森谷機械でここまで、つまり96までは出来る。ただ、そこにプラスアルファの価値を、多少いびつであったり精度が悪くても、もっといい物になる可能性が98ある、たった2しか違わないけど。
そういうことにそろそろみんなが気づき始めてて、食べる時の栄養価みたいなのが同じであれば、お母さんが子供に一声かけるように、「早くご飯を食べなさい」とか、「もう一回温めようか」とか言われると、もっとおいしく感じるっすね。
首藤はいはいはい。そうですね。
それがスパイスになってもっとおいしく感じる。
森谷その通り。
以上です。
一同(笑)
森谷それを求めてるんじゃないすか、みんな。
首藤そう!そうなんですよね。
森谷たぶんこめたびさんもそういうのを考えてやってることなんじゃないすか。
「そこに価値観を与えるのは何だ」ってね。
森谷それともう一つが、自分たちが作ったものが飲まれるとか、売っていくとかといことを目の前でやるというのが、蔵の人たちにとってはいいこと。
せっかく米から酒まで瓶詰め、出荷までやってるもんだから、自分たちの目の前でそれが動いてるのを私たちは部品の会社ではなく、最後までやる会社だから、
たとえば自分がオリンパスの会社にいたとして、みながオリンパスのカメラをカシャカシャやってると、うれしいすべ。そういう現場を見るってのはいんでねすか。
首藤たしかにお酒って言われてみれば原材料から完成品まで全部見える。
森谷幸せな仕事ないっすよ。しかもこれを田んぼからやったら。